質問コーナー:収渋薬について

Q:収渋薬について教えて下さい

中薬学を読みましたが何となくしかわかりません。

他の章と分けてあるのは意味があると思います。

(症状の重い時に使うのかな・・・?)

A:収渋薬を分けてあるのはやはり意味があると思いますね。

個人的にはちょっと独特な位置づけかなと思います。

様々な症状を中医学的に見ますと、なかには「漏れている」あるいは

「抜けている」「脱している」と理解される症状があります。

たとえば尿が漏れる、出血する、髪が抜ける、汗がすごく出る、などです。

これらの症状は中医学的に弁証すると原因は様々だったりします。

尿漏れは冷えが影響していたり、出血は元気が不足しているのが原因だったりです。

その場合当然ながらこれらの原因の治療をしますが(本治)

速やかに症状を改善させるために収斂させて漏れるのを抑える収渋薬を

併せて用いることがよくあります。

つまり収渋薬は症状を抑える標治の薬として使われます。

収斂させるのは一般に酸味を持っている生薬が多いです。

また渋みがあるものも同じく収斂させる働きを持つことが多いです。

代表的には山茱萸、五味子です。

例えば八味丸に山茱萸が入っていますが

山茱萸は肝腎に働き補益肝腎、収斂固脱の働きがあると言われます。

八味丸は補腎の薬なので、腎を補う山茱萸は適していますが

それだけでなく収斂固脱の働きがあるおかげで

頻尿にも効果があると考えられます。

また小青竜湯には五味子が入っています。

鼻水は昔は脳漏と呼ばれていました。

骨や髄液を主っているのは中医学的には腎ですが、

腎が弱って髄液が鼻水として漏れ出てくるという考えがありました。

その漏れを止めるために五味子が入るとより鼻水が止まりやすくなります。

現代ではアレルギー性鼻炎など中医学的にみると

外邪と考えられることが多いですが

その場合にもやはり五味子がはいることで鼻水が止まりやすくなります。

またちょっと変わったところでは火神派の李可先生が創成した

破格球心湯という処方があります。

李可先生は3年前になくなりましたが、

急性心筋梗塞などに用いてよい効果を上げていたそうです。

この薬の主薬の一つが山茱萸でなんと1日60〜120g使用します。

瀕死の状態で全身から気が抜けかけている「気脱」の状態を

改善させるのがその目的で、合わせて竜骨、牡蠣も用います。

収渋薬はうまく使うと非常にいい効果を得ることができますので

実は個人的には使っていて楽しい生薬です。


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