質問コーナー:震えについて

Q:パーキンソン病、中風、中気など震える(振戦)ことがあると思いますが、中医学ではどのように考えるのですか?また、先生のご見解があれば教えて下さい。

A:まず中風ですが、傷寒論では風邪に中る(あたる)、つまり風邪をひいた状態のひとつで太陽中風といい桂枝湯を用います。おっしゃっているのはいわゆるチューブといわれる脳卒中による麻痺による状態を指していると思いますが、手足の麻痺などがあれば気血不通と考え気血を通すことを考えます。代表的な薬としては補陽環五湯があります。このような薬が中心にはなりますが、脳梗塞のような場合で瘀血と考えられる場合はさらに活血のものを加えます。それから振戦などの急に動くような症状は風ととらえることが多いので去風通絡の働きがあるものを加えることになると思います。
例えば顔面神経麻痺の時は牽正散などがよい効果を発揮することが多く、この中に含まれる白僵蚕や全蝎、あるいは蜈蜙などを用います。
中風は多くの場合外邪による外風と考えられると思いますが、パーキンソンは緩徐に進行することもあり内傷や虚証に属するものが多いと思います。これらに対しては臓腑弁証で肝から考えることが多くなるのではないかと思います。というのも肝は内風と密接に関係しているからです。この内風に対しては疏肝、養血しながら平肝熄風の竜骨、牡蠣、釣藤鈎などを加えますが、筋肉の痙攣であれば芍薬も加えて柔肝します。
実際のところ筋肉の痙攣であれば芍薬を用いていけばある程度抑えることができると思います。
ただそれは標治なので本治をしっかり考えることが重要で本治をしっかりおこなえば本治だけ、あるいは標本同治で痙攣を抑えきることも十分可能になってきます。
神経性の場合は前述したように通絡の薬を用いることもありますが、癲癇などでは神経の興奮を抑える目的で主に重鎮安神薬を用いていくことも少なくありません。竜骨、牡蠣の他に磁石や代赭石などを用いたりもします。ただ筋肉の痙攣であれば100%に近く効果が期待できますが、神経性の場合はコントロールが難しい場合もあります。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。