弁証(診断)の難しさ

今日は研究会で症例検討をおこないました。

私自身が症例を提示して会員の方々からの意見を聞いたのですが

色々と考えさせられることがありました。

私のところでは初診時に問診票を患者さんに記入していただいています。

さらに診察時にもお聞きするのでいろんな情報を得ることができます。

漢方の場合は検査はほとんどありませんから、

診断において問診はかなりのウェイトを占めます。

中にはいろんな症状がある患者さんもいて

問診票がチェックだらけ、ということもあります。

そういう場合漢方的に見てもいろんな病気があることが少なくありません。

例えば元気が無くてさらに冷えもあるが火照りがあったり、

むくみもあるし、肩こりもあって血行も悪いといった場合です。

こうなってくると漢方でよく言われる気・血・水すべてが悪くなっています。

ですから全体的に良くしようと思うと

それぞれをよくする薬を組み合わせることになります。

ところがそういった患者さんでも特定の症状だけを治して欲しいという場合は

必ずしもすべてを治す必要はありません。

例えば肩こりが強くてガチガチに凝っているのは通常は瘀血ですから

血を治す薬だけで通常は良くなります。

花粉症なら冷え性であれば小青竜湯で大抵は良くなります。

冷えをよくしながら肺の機能を調整してやればいいわけです。

この逆は無理で、小青竜湯で肩こりは治りませんし、

桂枝茯苓丸で普通は鼻炎は良くなりません。

つまり漢方的に見てたくさんの病気がある場合でもここの症状を見れば

それほど複雑でないことが少なくありません。

よく漢方はホログラムのようなもので

部分を見て全体がわかるといいますが

例えば舌を見て瘀血があるから全身が瘀血かというとそんなことはありません。

逆に舌では瘀血の所見が無くても部分的に瘀血があるということはあります。

でもそのあたりのことが経験的にわかってないと

一つの症状を治すのにたくさんの漢方薬が必要というふうに考えてしまいます。

また冷えがあって、一方でのぼせがある場合に

温めるのか冷やすのかどちらかを選ばなければなりませんが

人によって判断が異なってきます。

来月から入門講座を行うので

どのように教えるのがいいのかを最近よく考えていますが、

どういった点を重視して最終的に診断をつけていくかを伝えていくのは

かなり難しいかもしれません。

基礎がしっかりある人たちでも意見が分かれます。

私自身は師匠から教わった火神派的な視点がベースですが

今回の講座は火神派的な考え方も学べる数少ない機会になると思います。

少しでも多くの方にそれを理解していただければ嬉しく思います。

Q&A:春の養生について

Q:春の養生についてアドバイスをお願いします。

  お花見に出かけたり、散歩して植物の芽生えに目を移すというのは

  自ら陽気(昇発)を取り込もうとしているのでしょうか。

  また、もともと肝気の強い人はこの時期の陽気に触れ高くなることもあるのでしょうか。

A:木を見て陽気を取り込むかどうかはよくわかりませんが

  芽吹きを見て春を感じるのなら、おそらく陽気の升発の助けになっていると思います。

  また暖かくなってくると普通は陽気のめぐりが強くなり活動的になります。

  もともと肝気の強い人も陽気がよりめぐることでさらに肝気が強くなると思います。

  その場合、気が高ぶりすぎると怒りやすくなることがあるので要注意です。

  また中医学では気血の循環の調節する機能を疏泄と言いますが、これは肝が主っています。

  肝の不調がある人はこの疏泄が悪くなって気候の変化に対応しにくくなり、

  春先に体調を崩しやすくなります。

  肝が不調になる一番の原因はストレスです。

  ですからなるべくストレスを減らして、リラックスして生活しましょう。 

  それからこの時期に寒暖の差で体調を崩される方を診ていると
  
  寒が戻ってきたときに悪くなっているケースが多いように思います。

  したがって、当面は寒い日を基準に服装なども考えていただくといいと思います。
  

勉強会のお知らせ

以前お伝えしていた勉強会の詳細が決定しました。

問い合わせいただいた方もいらっしゃってお待たせいたしました。

「中医学入門講座」と名打って月1回で1年間の予定で行います。

神戸では第1回が5月18日(木)19時から90分間、

場所はJR三宮駅から徒歩2分のTKP神戸三宮ビジネスセンターでおこないます。

参加費は1000円、対象は医師、薬剤師です。

共催は神戸中医学研究会、クラシエですので

興味のある方はクラシエのMRにお問い合わせください。

東京は5月24日が第1回になる予定ですが、場所が決まり次第改めてお知らせします。


Oh!の25周年記念パーティー

昨日診療所を作ってくれた感動創作工場Oh!の25周年記念パーティーがありました。

代表である階地さんが今までお世話になった方にお礼がしたいと思って催されたパーティーで
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今までの施主を全員招待されていました。

25年間の施主を全員招待するって

よく考えたらすごいですよね。

ほとんどの方がご自宅でお店を作ってもらった

方はごく少数でクリニックは私のところだけでした。

みなさん、ご自宅に満足されているようで

「他の家にお邪魔してもやっぱり自分の家がいい」

とおっしゃっていました。

我が家はOh!さんを知る前に建てたのでその点ではちょっと残念です。

階地さんは最近は音楽家のサポートもされているようで、

その方達の演奏もあってとても優雅な時間を過ごすことができました。

つい先日も初診の方でクリニックの雰囲気をすごく褒めてくださった方がいましたが、

階地さんの優しい人柄が出ているからだと思います。

階地さんと癒しのクリニックを作ると話し合って早いものでもう6年になります。

私が漢方医としてここまで成長できたのは師匠が導いてくれたからですが

患者さんからもたくさん教えていただきました。

それを私も患者さんに返していけるような診療をこれからも続けていきたいと思います。


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