クリニックが6年目を迎えました。

早いもので今年ももう9月になりました。IMG_0867.jpg

9月1日はクリニックの開院記念日だったのですが、

最初は自分でも忘れていました(汗)

そうしたらなんと患者さんから

6周年記念のお祝いをいただきました。

さらにうちの猫のタマちゃんのお祝いまで・・・

こんなことがあるんだなと

感激してしまいました。

たくさんの患者さんに支えられてIMG_0871.jpg

気がついたらもう6年目。

早いものです。

お祝いをくれた患者さんをはじめ、

すべての患者さんにお礼を申し上げます。

ありがとうございました。

これからもなお一層皆様の健康に

貢献できるよう頑張りたいと

思いますのでよろしくお願いいたします。



今年は湿気が強い

今年は例年よりも湿気が強いように思います。

私は冷え性なのですが、この蒸し暑さはさすがに辛いですね。

家では軽く除湿をかけています。

この湿気のせいか最近湿疹で受診される方が多いように思います。

この時期のジクジクした湿疹は漢方的にみると大部分が湿邪の影響です。

ですから湿邪を抜くような漢方を飲んでもらうと大抵よくなります。

さて、この湿気を抜くのに今まではスイカなど熱を取りながら

湿気を尿から抜く食べ物をお勧めすることが多かったのですが

最近は発汗させた方がより強力に抜ける印象を持っています。

暑い季節ですが、あえて熱いものを食べてそのあと

風に当たってさっぱりさせるのがいいように思います。

皆さんも体が重だるいな、と感じたらぜひ辛いものや温かいもので一汗かくのはいかがでしょうか。

家庭で手軽に湿気を抜く方法としてお勧めしたいともいます。


やはりこの季節は生の生姜がオススメです。

今梅雨の時期で昨日も強い雨が降りました。

そしてケーキとポテトチップスを食べたので、その飲食の不摂生も影響しているでしょうが

今朝は朝から体がなんとなく重く、ごく軽〜い頭痛もありました。

頭痛は年に1回あるかないかなのでとても珍しいことでした。

湿気にやられているな、と思い患者さんにもよくお出ししている苓桂朮甘湯をお湯で溶いて

それに生姜のすりおろしを入れて診療中飲んでいました。

そうすると少しずつ楽になってきました。

しかし、飲み続けていると少しムカムカしてきました。

あー、残念。

なんでこうなるかというと甘いものをよく食べているせいで

中医学的にいうと胃に痰熱ができて、

そこに苓桂朮甘湯の桂枝が入ることで悪化しているんですね。

昔から酒飲みは桂枝湯を飲むと吐く、と言われます。

それは飲酒することで同じく胃に痰熱が生じやすいからです。

図らずも自分の胃の状態が正常でないことが露呈してしまったわけですが

この場合、真武湯がいいと思います。

ただ真武湯は普通に飲むと効果が十分でないことが少なくありません。

それはひとえに生姜が入ってないからだと思います。

真武湯には本来生姜を入れることになっています。

この生姜は生の生姜なのです。

生の生姜は胃や肺など上半身に作用しやすい性質があります。

ですからこれが入ることで上半身を温めながら

水のめぐりを良くしてめまいを改善してくれます。

ところが実際にエキス材に入っているのは乾姜という乾燥生姜なのです。

これは水の巡りを良くするというより温める作用が主となります。

しかもどちらかというと下半身が中心になります。

真武湯の生姜を乾姜に変えると苓桂朮甘湯という薬に近くなります。

これは別名腎著湯と言って腰回りが水に浸かっているかのごとく冷えるのに適した薬です。

この状態は寒湿と言われる状態で、つまり乾姜は

下半身の水の巡りを良くするのに良いことががわかります。

ですから今の時期でめまいが出るような人は

上半身の水のめぐりを良くする桂枝や生姜をたくさん摂るといいです。

さらにいうと桂枝も保険適応のものは全て経皮と入れ替わっています。

そのため、生姜をたくさん摂るのがいいという結論になります。

(長々とお付き合いいただきましてありがとうございました)

ですからこの時期は生の生姜をたくさん摂って体調管理に努めて頂ければと思います。

※生姜は新生姜ではなく土生姜です

Q&A:2つの五行図

Q:
Q&A

A:五行図もいろいろありますね。

上が一般的な五行図で主に相生(木→火など)、

相克(木→土など)を表すのに用いられます。

それに対して下の五行図は土が中心です。

この五行図は元々は方角を五行で表す時にできたのだろうと思いますが

中央の土の意味合いが強くなっています。

例えば中国の皇帝は黄色の服を着ていることが多いですが

それは”中央にして中心である”ということを意味しています。

(土の色は黄色)

中医学においては清代の名医、黄元卿がこの図を用いたのが有名で

中央の脾土を中心として円運動を行うという理論を展開し、

のちの彭子益が「円運動的古中医学」という本を著しています。

私がベースとしている火神派では上下のバランスを司っているのは

主に腎と考え腎と心の関係を見ていきますが、

この考えでは脾土が中枢であり、この枢機がよければ上下が通じて

バランスが取れると考えます。

この考えも一種独特なものがありますが、

中医学をしっかり勉強していく上では一読に値する考え方です。

このての本を何冊か持っているので興味があればお見せしますね。

東京の勉強会

以前、東京の勉強会についてもブログでお知らせすると書きましたが、

失念していました(汗)

興味のある方は東洋学術出版社のHPに

案内が出ていますのでご覧ください。

http://www.chuui.co.jp/lecture/002668.php

「物質としての陰」について

一昨日の勉強会の後に

「陰がよくわからない」

という質問を受けました。

日本漢方にはない概念なので難しいですね。

説明が足りなかったかもしれませんのでここで少し補足させていただきます。

「基本物質としての陰」というのは

私自身がイメージするのは車のラジエーターのようなものです。

もう少し言えばその中の冷却水のようなものでしょうか。

漢方の世界ではみなさんよく知っているように

生姜などの体を温めるものがあります。

この世界は2極性の世界ですから、

温めるのがあれば冷やすものもあります。

中医学的にはそれぞれが物質としての「陽」と「陰」になるわけですが

特徴的なのは他の基本物質と違ってこの2つは正反対の物質であり、

一対となって作用しているということです。

つまりバランスが重要と言えます。

陽が減れば陰が相対的に多くなって冷えるようになり

陰が減ればその逆で今度は陽が強くなって熱くなります。

普段の生活で意識することはないと思いますが

熱くも寒くもない正常な状態というのは

中医学的にはこの2つのバランスが取れている状態ということなのです。

漢方の基本物質としてよく言われる気・血・水はもちろん重要ですが

体が冷えたり、あるいは熱を持ったりすると

気・血・水の全てに影響が出ます。

ですからその意味では気・血・水よりも

陰陽がより重要と考えられます。


陰虚の状態は熱くなりますが、それに伴ってほぼ必発してくるのが乾燥です。

清熱する薬は代表的には黄蓮などの苦味の強いものですが

これらは一般的に乾燥させるので陰虚の治療には向きません。

石膏もしかり、大量に使うと乾燥してきます。

陰虚には生地黄、玄参、亀板などの緩やかに清熱しながら

潤す作用のあるものが滋陰薬として用いられます。

使う生薬も違ってくるため熱の状態でも実熱と陰虚の虚熱を分ける必要があります。

無事、1回目の中医学入門講座が終わりました

昨日は三宮で中医学入門講座の1回目を行いました。

当初予想していたよりもたくさんの方に

お越しいただきありがとうございました。

テキストとしてお勧めの「基礎中医学」の販売もおこないましたが

こちらも予想以上に売れました。

中医学を本気で勉強しようと思っている方が多かったのだと思います。

「明日から使える漢方」みたいな話をするのは簡単なのですが

それで使えるようになってもその後の進歩はあまりありません。

また最初にそういうのが身についてしまうと、

本格的な中医学になじみにくくなるような印象を持っています。

私としては中医学の本質を理解して欲しいと思っています。

そうすれば漢方を自由自在に操れるようになります。

そのために重要な基礎的なことを重点的に話していきたいと思っています。

1年通して聞いていただければ基礎的なことはかなりマスターできると思います。

そうなるように頑張ります(^ ^)


台湾研修旅行2017②

植物園には季節柄綺麗な花もたくさん咲いていました。

そのうちの一つがこちら。金銀花1

この花、黄と白の花弁が一緒についています。

写真写りが悪いのではありません。

珍しいですよね。

この花の色からつけられた名前が”金銀花”です。

この金銀花は清熱、解毒の働きがあり金銀花2

風邪などで寒気がなくむしろ体が

熱くなっている状態の時によく使われます。

鼻炎などでもうまく使えば

非常に良い効果を発揮してくれます。

清熱の生薬は苦いものが多いですが、

これはあまり苦くないのも良い点です。

次に夏枯草(カゴソウ)。夏枯草

紫の花と共にたくさんの花穂が

見えていますが、これが夏になると

枯れるのでこの名前がついています。

夏枯草はこの枯れた花穂を

生薬として用います。

夏枯草は中医学的に肝臓を清熱する働きがあり

肝と密接な関係がある目の炎症などにもよく用いられます。

以前夏枯草入りのスープをいただいたことがありますが

あまり苦くなく美味しかったです。

ちなみに夏枯草のタネをいただいてきました。

うまくいけば診療所でも見ることができるようになるかもしれませんが

あまり期待しないでくださいね(笑)

台湾研修旅行2017①

さる5月3日〜6日まで昨年に続いて台湾に研修旅行に行ってきましたので、

それについていくつかブログを書いてみたいと思います。

3日は前回と同じく順天堂の研究所にお邪魔して

たくさん丸剤やエキス製剤を買いました。

今回買ったのは主に自分用です。

日本の保険には収載されていない薬たちで

しばらくはこれらを飲んでアンチエイジングをしたいと思っています。

4日にお邪魔したのはその順天堂が持っている植物園です。

陽明山にある広大な植物園には毎年

アメリカの大学などからも見学に来るそうです。

まず着いて出していただいたのがこのお茶です。IMG_0235.JPG

手前が薄荷、右がレモングラス、

そして左が・・・何かわかりますか?

答えはステビアです。

ステビアは実物を見るのは初めてでしたが、

かじってみると予想通りかなり甘いです。

これがお茶に入ることでレモングラスの酸味で

スッキリした味わいの中に甘みもある

とても美味しいお茶になっていました。

当院でもお茶をお出ししていますが、

このお茶もお出ししてみなさんに飲んで欲しいです。

ただしステビアを育てないといけませんが(汗)

こちらの生薬は石斛(セッコク)です。IMG_0256.JPG

中国では比較的ポピュラーな生薬なのですが、

ワシントン条約で規制されているため

日本ではほとんど見ることがありません。

マイルドに清熱しながら潤す働きがあるため

風邪などの後期によく用いられる生薬です。

岩や樹木に根を張り付かせて自生する着生ランらしく

このように木に貼り付けて育てていました。

こうやって生で見ると一度使ってみたくなります。

順天堂ではこのエキス製剤を販売しているのですが

残念ながら日本では正規のルートがないんですよね。

将来日本でも販売されることを期待したいです。


弁証(診断)の難しさ

今日は研究会で症例検討をおこないました。

私自身が症例を提示して会員の方々からの意見を聞いたのですが

色々と考えさせられることがありました。

私のところでは初診時に問診票を患者さんに記入していただいています。

さらに診察時にもお聞きするのでいろんな情報を得ることができます。

漢方の場合は検査はほとんどありませんから、

診断において問診はかなりのウェイトを占めます。

中にはいろんな症状がある患者さんもいて

問診票がチェックだらけ、ということもあります。

そういう場合漢方的に見てもいろんな病気があることが少なくありません。

例えば元気が無くてさらに冷えもあるが火照りがあったり、

むくみもあるし、肩こりもあって血行も悪いといった場合です。

こうなってくると漢方でよく言われる気・血・水すべてが悪くなっています。

ですから全体的に良くしようと思うと

それぞれをよくする薬を組み合わせることになります。

ところがそういった患者さんでも特定の症状だけを治して欲しいという場合は

必ずしもすべてを治す必要はありません。

例えば肩こりが強くてガチガチに凝っているのは通常は瘀血ですから

血を治す薬だけで通常は良くなります。

花粉症なら冷え性であれば小青竜湯で大抵は良くなります。

冷えをよくしながら肺の機能を調整してやればいいわけです。

この逆は無理で、小青竜湯で肩こりは治りませんし、

桂枝茯苓丸で普通は鼻炎は良くなりません。

つまり漢方的に見てたくさんの病気がある場合でもここの症状を見れば

それほど複雑でないことが少なくありません。

よく漢方はホログラムのようなもので

部分を見て全体がわかるといいますが

例えば舌を見て瘀血があるから全身が瘀血かというとそんなことはありません。

逆に舌では瘀血の所見が無くても部分的に瘀血があるということはあります。

でもそのあたりのことが経験的にわかってないと

一つの症状を治すのにたくさんの漢方薬が必要というふうに考えてしまいます。

また冷えがあって、一方でのぼせがある場合に

温めるのか冷やすのかどちらかを選ばなければなりませんが

人によって判断が異なってきます。

来月から入門講座を行うので

どのように教えるのがいいのかを最近よく考えていますが、

どういった点を重視して最終的に診断をつけていくかを伝えていくのは

かなり難しいかもしれません。

基礎がしっかりある人たちでも意見が分かれます。

私自身は師匠から教わった火神派的な視点がベースですが

今回の講座は火神派的な考え方も学べる数少ない機会になると思います。

少しでも多くの方にそれを理解していただければ嬉しく思います。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。