Q&A:生薬の四気、五味について教えてください。

現在、毎月医師、薬剤師向けの勉強会を東京と神戸で行っています。

初心者向けのものなのですが、本格的に漢方を勉強したい人のためのコースなので

毎回方剤やその中に含まれる生薬の話もしています。

葛根湯や四物湯などの方剤は料理でいうと

ホワイトソースやデミグラスソースなどに例えることができます。

これらの市販のものを使って短時間で料理することもできますが、

その中に含まれる材料のことを勉強すれば

より美味しい自分流のソースを作ることができます。

漢方でもより治療効果をあげようと思えば

最終的には生薬一つ一つについて熟知しなければなりません。

そのために重要なのが四気、五味です。

四気というのは体を温めたり冷やしたりする性質のことで

熱、温、涼、寒の4つがあります。

実際には寒熱どちらでもない”平”というのがあり5つに分類されます。

漢方薬は冷え性や更年期障害のほてりなどの治療によく用いられますが、

それは生薬には体を温めたり冷やしたりする性質が備わっているからなのです。

それから五味というのは生薬の味のことです。

酸、苦、辛、甘、鹹(かん、塩味のこと)の5つがあります。

(実際には他に淡、渋もありますがここでは省略します。)

ところで、生薬を勉強する上ではこれ以外に

個々の生薬の効能も覚える必要がありますが

保険で取り扱う生薬だけでも150種類くらいあるので大変です。

この効能を覚える上で大事なのが実はこの五味なのです。

五味は難しく考えることはありません。

まず自分で味わってみればいいのです。

そしてその味をしっかり記憶する。

味を記憶するのはそんなに難しくありませんよね。

例えば生姜も生薬ですが効能はともかく

辛味があることを忘れてしまう人はいないと思います。

そしてこの味が先述した四気や効能ともリンクしていることが多いのです。

例えば眠気があるときに辛味のあるガムを食べたりすると思いますが、

それは辛味のものは気血の巡りをよくする作用があって

脳の働きも賦活されるからです。

そして巡りが良くなると通常は体が温まります。

つまり四気でいうと熱か温のことが多いとわかります。

また五味と五臓の関係というのがあって味によって

どの臓腑に効きやすいのかがわかっています。

辛味は肺に効きます。

ですから生姜は温める作用があり肺に作用し、痰や咳の症状にいいのではないか

ということが推測されるのです。

実際に生姜は去痰作用もあり風邪にも使われます。

生姜の作用はこれだけではないのですが、五味を知ることによって

生薬としての生姜の大まかなイメージをつかむことができます。

このイメージをベースにして効能を覚えていくのが

生薬を理解する早道になると思います。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。