台湾研修旅行②

今回も引き続き研究旅行の一部を紹介します。

台湾にも中国と同じように中医薬大学がありますが、

その付属病院を見学することができました。

漢方専門ですが1日の処方枚数は600−700枚とのことで

私のクリニックのちょうど10倍ぐらいです。

漢方だけですからすごいですよね。

そのうち8割はエキス製剤でこれは昨日ご紹介した単味の顆粒も含めて保険がききます。

それに対して残り2割の煎じ薬は保険がきかないそうです。

ですから煎じ薬はエキス製剤では対応が難しい状態で、

少し経済的にも余裕がある人が対象になるとのことでした。
台湾中医薬大学1.jpg
薬剤部を見せていただきましたが、

壁一面エキス顆粒のボトルで

埋め尽くされていて圧巻でした。

あと驚いたのがコンピューター

によるシステム化です。

生薬も全て独自のQRコードを作成し

コンピューターでチェックできる

ようになっていて処方箋通りに

生薬を計測していないと警告が台湾中医薬大学2.jpg

出るようになっていました。

それから患者さんも自分の

処方箋のQRコード?をスマホで

読み取ると処方の内容はもちろん

その解説、さらにリアルタイムで

調剤が今どこまで進んでいるかを

知ることができるようになっています。

すごく便利ですね。
台湾中医薬大学3.jpg
それ以外にも個人的にはたくさん

刺激を受けてとても楽しい旅でした。

いろいろ吸収したものをこれから

患者さんに還元していければと思います。

台湾研修旅行①

今月21〜23日にかけて私が所属している研究会のメンバーと

台湾に研修旅行に行ってきました。

かなりハードでしたがとても楽しくて密度の濃い旅行でした。

今回はその旅行の中でお邪魔したIMG_0395.JPG

順天堂についてご紹介したいと思います。

順天堂は台湾の漢方製剤の

リーディングカンパニーです。

私が日々使っているような方剤の

エキス製剤を250種類程製造しています。

それだけでもすごいですが、IMG_0398.JPG

生薬単味のエキス製剤も

300種類程作っています。

台湾ではこの単味のエキス製剤も

病院で保険で処方できます。

ですから台湾では葛根湯や

補中益気湯などのエキス製剤に

さらに生薬単味のエキス製剤を加えて処方するのが一般的だと言うことでした。

私も似たような処方をお出ししていますが、

単味のエキス製剤が300もあるのはとても魅力的です。

今回は順天堂の研究所と工場を見学させていただきました。

研究所で聞いた説明では品質管理をとても重視していて

残留農薬や重金属のチェック、有効成分やその他の成分の測定

それから基原を調べるためにDNA鑑定までしているものもあるとのことでした。

やはり安心して薬が飲めるということは大事ですよね。

それだけでなく順天堂の薬は効果もいいです。

(こんな風に書くとなんだか順天堂の回し者みたいですが(汗))

私はここのメーカーの亀鹿二仙膠を服用していますが、けっこう疲れが取れます。

もちろん人参などもいいのですが、こういった薬は腎を補う効果もあり

人参とはちょっと違った特徴があります。

そして今回一番人気だったのがIMG_0345.JPG

七宝美髯丹(しちほうびぜんたん)

これは白髪にいいと言われる薬で

みんな爆買いしていました。

私も頼まれていたので10個ほど

購入しました。

漢方薬はいろんなものがあります。

普段は保険適応のものを使っていますが

その枠を超えていろいろ選ぶのもとても楽しかったです。


質問コーナー:戴陽と格陽について

Q:戴陽と格陽というのは腎陽虚が伴ってのことでしょうか?

陽虚浮陽という症状が戴陽、肝鬱化熱・陽虚が格陽と言えるのでしょうか?



A:今回の質問は専門誌に私が書いた文書に対してのものですが

この辺りの話は専門家でも十分に理解されていないことも多く難しい部分です。

一度理解できればそうでもないんですけどね。

戴陽と格陽はともに同じ病態生理から発生するのですが、原因は腎陽虚です。

ですから腎陽虚が伴う、ということではなくて通常腎陽虚なしにはあり得ません。

肝鬱化熱は関係ありません。

一般的には腎陽虚が悪化すると冷えの症状が出るだけでなく、

体内の熱のバランスが崩れて一部の部分は逆に熱を持ってくることがあります。

それが上部(首から上)に出ると戴陽とか浮陽といいます。

ちなみに浮陽という言葉には少なくなった腎陽が下から上に

昇って熱(虚熱)になっているというという病態も含まれています。

格陽という言葉は少なくなった陽が体の中心に留まれなくなり

外側に押し出されていることを意味します。

ですから症状としては顔だけでなく手足の火照りを含んでいるのが普通です。

ただ前述したようにこれらは病態生理としてはほぼ同じです。

中国人は文章にする時には同じ言葉をあまりくり返さないという習慣があり

私もそれを意識して敢えて言い回しを変えているところもあります(笑)


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