最近の週刊誌の記事を読んで

最近週刊誌に漢方のことが立て続けに取り上げられています。

それについて個人的が見解を少し述べてみたいと思います。

まず週刊新潮で漢方の副作用のことが取り上げられていましたが、

これはかなり昔の話で、漢方医でこういった副作用の話を知らないものはいないと思います。

当然そういった副作用に注意しながら診療にあたっています。

ですから、「どうして今頃急に週刊誌に載ったのかな」というのが正直な感想で

何か意図的なものを感じます。

またこの記事ではツムラが批判の対象となっています。

保険適応のある漢方薬を取り扱うメーカーの中で

ツムラは巨人と言えるほどのシェアを占めています。

良くも悪くもツムラが漢方業界を引っ張って来たというのも事実だと思います。

個人的には正常な競争原理が働くには今のバランスは非常に悪いと考えているので

他のメーカーにも是非頑張ってほしいと思います。

それからサンデー毎日で反論記事が出ましたが

ここでは日本漢方と中医学との違いについて書かれています。

本来の漢方は個人に合わせて「さじ加減」したオーダーメードにするべきなのに

ツムラが作った手帳などをみて簡単に処方する医師が多い、という指摘です。

確かに本来は漢方はオーダーメードであり、それが大きな特徴の一つだと思います。

私自身も全ての患者さんにさじ加減していますし、

このさじ加減から「金のさじ」と名前をつけています。

しかし、さじ加減ができるようになるにはかなりの専門的な知識が必要となります。

それこそもう一度大学に行き直すぐらいの気持ちで勉強しないと

とても身につきません。

一方で現代は現代の医学は西洋医学をベースにしたエビデンスを重視するものであり

例えば機能性ディスペプシアに六君子湯が有効であるという臨床データが出れば

医師であれば漢方を処方するのに特別な資格は必要ないですから

専門的な知識がなくても処方できるわけです。

それで専門家ほどではないにせよ、一定の割合の患者さんには効果をあげられると思います。

効果が上がれば医師、患者ともに漢方薬の有効性を認識できます。

実際漢方を処方する医師はかなり増えている印象がありますから

漢方薬の普及という意味ではツムラはかなり貢献していると思います。

漢方に目覚めた医師をより本格的な中医のレベルに導くのは我々

中医学を専門とする医師の役目ではないかと最近思っています。

日本漢方を信奉する医師もいますし、それはそれで尊重します。

しかし、日本漢方にばかりこだわっていては携帯と同じように

日本だけガラパゴス化する可能性があります。

何より中医学の有用性を私自身認識しているので

中医学が日本でより普及していくように少しでも力になりたいと持っています。


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。