質問コーナー:補陽薬について

Q;八味地黄丸(補陽)、右帰丸、亀鹿二仙膠(補腎壮陽)について教えてください。
  
  これらは実際どのような症状の時に使い分けるのですか。

A;これらは一般に補腎の方剤という同じグループに分類されるものです。
  
  当然似ている部分もありますが、一方で少し違いもあります。

  今回はそれについてお話しします。

  まずこの中で一番よく知られている八味地黄丸をベースに

  考えていきたいと思います。

  八味地黄丸は金匱要略に出てくる大変有名な薬です。

  別名腎気丸と言われるように腎を補う代表的な薬です。

  この腎を補う作用というのは具体的にいうと主に

  ①補腎陽 ②補腎陰 ③利尿作用 ④強壮作用 になります。

  八味地黄丸は①〜④のすべての作用を持っていますが、

  ①と④の作用がマイルドです。

  これに対して右帰丸、亀鹿二仙膠は共に③の作用がほぼなくなり、

  ①と④の作用が強くなっています。

  つまりより温めながら元気を出すという薬になっています。

  その中で右帰丸は莵絲子、杜仲という補腎の中でも骨を強めて

  腰や膝などの痛みに効くような生薬が配合されており、

  さらに補血の当帰も合わさって血行を良くして

  痛みを和らげるようになっています。

  つまり温め、滋養強壮で元気にして、さらに足腰の痛みに効くという

  冷え性のお年寄りには非常にいい薬になっています。

  一般的に八味地黄丸よりも効果が強い点で

  補腎陽の方剤の代表格となっています。

  これに対して亀鹿二仙膠は亀板、鹿角、枸杞、人参の

  たった4つの生薬からなる薬です。

  しかし枸杞以外の生薬はそれぞれ、補陰、補陽、補気の最も効果の強い生薬

  といってもいいくらいで非常に強力な薬になっています。

  特に鹿角と人参が組み合わさることで

  滋養強壮、疲労回復の力がとても強くなっています。

  また先ほど莵絲子、杜仲が骨に効くと書きましたが、

  その作用も鹿角の方が強いと考えられ

  亀鹿二仙膠が骨密度を上昇させるというデータもあります。

  また亀板は潜陽の働きがあり、
 
  この方剤単独で陽虚浮揚を治療できると考えられます。
  
  以前も書いたように私は亀鹿二仙膠を服用していてその効果に満足しています。

  質問者様も機会があれば亀鹿二仙膠を試していただくといいと思います。


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